考える

元彼に拒絶され、見離されたとき、彼を恨むのとおなじくらい、もしくはそれ以上、自分に失望した。
好きな人と共に在るという、ささやかな幸せも叶わないほどに、無価値で無力で不幸な自分。

別離からすぐに新たな恋を探し始めたのは、
その傷を癒すためという目的が第一だったと思います。

恋活に乗り出す最初の動機は、それだけのはずでした。
でも本当にそれだけなら、誰だって良いはず。
こちらに興味を持ってくれている人や利害関係の一致する人に、なりふり構わず交際を取り付け、その人に愛されるよう努力すればよかった。
なかなか、恋がうまくいかなかったのは、
それだけではなかった、誰でも良いわけではなかったからだと思います。
私はやっぱり、人を好きになりたかった。
私が好きになった人と、一緒にいたい。
好きになった人に、求めてほしい。
それをまだ諦められていませんでした。


彼と初めて出逢った日、
待ち合わせて初対面を果たし、居酒屋に入って話し始めたときから、私の恋は始まっていました。
このひとが好きだ。
そう思いました。
見た目ではなく、
彼の真摯な話し方や、笑い方、ピンと伸びた背筋。
話すことがすべて余りにも実直で、ときに頑固ささえ感じるところ。

それら全部を、好ましいと思いました。


そこから彼と付き合うまで、紆余曲折ありましたが、
出会えたことが奇跡だと思うくらい、
私は彼のことが大好きです。
元彼といたときに犯した過ちのすべてを、彼といるときは犯さないようにしました。
嫌われたくない、好かれたいから、
いままでの経験をすべて活かして、良い彼女でいるように努めました。
それでダメなら、仕方ないです。
どこかで、諦める覚悟もできています。


でも、彼と連絡がとれなくなったいま、
泣いて、傷ついて、今度こそ耐えられないと絶望しても
一通り泣いて、深呼吸をして、あらためて彼を思うと、涙が止まります。
まだ頑張れると、まだ彼を好きだと思います。
プライドの塊みたいな彼を、仕事や生活が整っていることが自己評価に直結していた彼を、素朴でかたくなで理屈屋で男らしい彼を、まだまだ私は大好きなんだと思って、力が湧いてくるのを感じます。



そうやって頑張って毎日を明るく生きること。
大切にします。
いまこの時期がなんなのか、まだわかりません。
彼ともうあえなくても、もう終わるのだとしても、
彼をひたすら待っているのだとしても、どちらにせよ、私はみじめじゃない。
いまできることをきちんとする。
まじめで、まっすぐで、かたくなで。そんな彼に、たくさんのことを教わりました。
何気ない日常をきちんと生きること、与えられた仕事を実直にこなし生きる糧を得ることの大切さ、尊さが身にしみました。

感謝して、きちんと生きようと思います。




春頃、今思えば笑っちゃうほど短い期間ですが、2週間ほど彼と音信不通になって、
再開したとき。
彼は照れたみたいに玄関に立って、ただいま。と言いました。
あの夜の、悲しいような幸せなような、それでいて胸が締め付けられる不思議な感覚は、一生忘れないです。
あのとき、私が彼を守ると、癒すと決めたことを、何度でも思い出そうと思います。
いつか、すべてやりきったと、彼のことはもう諦めようと、納得がいくまで。
何度でも、何度でも、思い出します。
出逢ってからいままでの、彼のことも、何度も思い出します。

彼とあえて少しだけ人として成長できた、
ろくでもない自分を、抱きしめながら。