困難

昨夜は会社の先輩がたと美味しいワインを飲んで、良い気分で帰路につきました。

電車を降り、何気なく携帯を開いたら、

彼から連絡がきていました。

肝が潰れた。


ここ数ヶ月何よりも待ち望んだ、ひとことでも1文字でも良いからと欲した、彼からのメッセージは、頭30文字のプレビューの後も、何事か続いているようでした。

驚きでよろめきながら、どんなことが書かれているんだろう、振られていたらどうしよう、見るのが怖いと思いました。

でも、絶対にすぐ読まなくてはとも思いました。

実は、先月にも一度返信をもらったのですが、振られてしまっていたらと思うと怖くてメッセージを開けず一晩置いたところ取り消しされてしまって、本気で身悶えて苦しんだので、、、

なので今度こそは、きちんと読まなくちゃ。そう思って、近くの賑やかな居酒屋に入りました。

一度、彼と来たことがあるところです。

カウンター席で他のお客さんの明るいわらい声に紛れたら、不思議と勇気が出て、メッセージを開きました。



連絡をできなかったことへの謝罪と、彼の抱える葛藤と不安、整理がついていないことへのもどかしさが綴られていました。

普段は論理的で明るく強い彼が語る、感情的に揺らぐ不安定な言葉たち。

彼を取り巻くいろいろな事情を思うと、その内容はあまりにも難しく重たく、出口がないように思えて、私は硬直し絶望しかけました。

一緒にいたころに彼がメッセージに記したり直接言ってくれたような、甘い言葉や頼もしい言葉も、今回の連絡にはいっさいありませんでした。


でも、今回のメッセージに記されているのも確かに、普段と同じ大好きな彼が、本音を絞り出すようにした言葉で、私を拒絶したり傷つけたりといったものではないと感じました。

むしろ、何度も読み返すうちに、未納得や不安に苛まれる中での、私への思い遣り、不器用な愛を、ふらふらと頼りなく微かにですが感じ取ることができました。

すぐに解決できない問題への焦燥感、彼を助けられない無力感や、離れているうえに障害だらけで会えるのかもわからないこの状況への寂しさも、当然のように湧き上がっていましたが、

同時に、彼への愛しさが、じんわりと全身を包むのがわかりました。

様々な感情の渦に飲まれた私は、居酒屋のカウンター席で、ものすごく変な顔をしていたのではないかと思います。



家にたどり着いて、返事を書きました。

正直に、でも答えを急がずに、責めずに。

思い遣りをもって。

そう自分に言い聞かせながら少しずつ文章を作って、何度も見直して、悩んで。

最終的に、これが正解!という文章が提示されているわけないのだから、本気で綴った内容なら、それで良いんだ。と考え、送信しました。


強くてまじめな彼を尊敬して憧れているから、私はぜったいに後悔しない。


返信のなかに、そんな内容を記しました。

実際は、何に対して後悔しないのか、具体的な事柄があるのですが、

それだけじゃなくて、

彼を好きになったことを、後悔しない。

そんな思いも込もっています。




返信の文章を書き終えた時には、夜中でした。

送信したあと気絶するように眠って、夜があけました。

さっきメッセージを見たら、既読になっていました。

ここ数ヶ月、送った何通かのメッセージは、2週間や3週間未読のままであることがほとんどでした。

それはそのまま彼の悩みの深さを表していたのでしょうけど、私はそこに拒絶を感じ、傷ついていました。

だから今やっと、ほんの少しだけでも届いたのだと思い嬉しく感じました。


でも、同時に心は新たな痛みを覚えていました。

返信がきたからといって、ゴールではない。

届けた私の気持ちを、彼は受け取ってくれるだろうか。

ここから、また会えるだろうか。

こんなにも山積みの困難や不安のなか、彼と私は一緒にいられるのだろうか。



まだまだ厳しい道のりが続きそうですが、なるべく心を整えて、自分と彼を信じて、少しずつゆっくりと頑張ろうと思います。